second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結



「その穴を薬剤で開けておき、体重の経過や体調を見た上で、血液の流れ方を修正したり補助する手術を行うわけです。」

「手術・・・・?」

「手術と言われると心配ですよね・・・でも手術しないと救命はできないんです。」

「そんな・・・」

「でも、もし、出産してから赤ちゃんの心臓に異常が見つかって、そこから検査するなどして処置が遅れたら、動脈管が閉じてしまって手術すらできなかったかもしれません。」

「手術すらできなかったって・・・・」


新生児集中治療室医師である橘クンが今、説明していることはすべて正しい。
でも、初めて耳にする今田さんご夫婦にとっては、それは信じがたいこと
そう思う。


医師と患者さんの間にできる、事実を伝えるーそれを知ることで不安になってしまう・・・この溝をどうにかして埋めたい

でもあたしも橘クンと同じ立場の医師

患者さんを不安にさせないために事実を伝えないことのほうが
患者さんのためにはならない

こういう溝に
これまで何度も苦しんできた

多分、あたしだけじゃなくて
橘クンも・・・

だから寺川部長にお願いして心療内科所属の臨床心理士を派遣してもらっている
でも、その心理士さん達は心療内科優先で、なかなかタイムリーにケアしてもらうことができていない

タイムリーな心理ケア
今、すぐにでも欲しい・・・





「僕も同席させて頂いてもいいですか・・・?」


重苦しい空気を切り裂くような、爽やかな声が聞こえた。
今まで、こういう病気の告知の際にはなかった空気の変化。


その存在でその場の空気を変える雰囲気を兼ね備えている

『・・・志賀さん・・・』

そう思わずにはいられなかった。


「今田さん、初めまして。臨床心理士の志賀です。この度、奥野先生から、今田さんご夫婦の不安や心配事に寄り添いながら、医療スタッフと今田さんご夫婦の橋渡し役を担って欲しい・・・そう依頼を受けましたが、僕がその役割を担わせて頂いても宜しいですか?」


あたしはまだ志賀さんに今田さん夫婦のフォローをして欲しいという指示は出していない
しかも、このタイミングで志賀さんが現れたということはおそらく橘クンの指示だと思う

今田さんの主治医はあたし
そのあたしの立場を理解してくれた上での橘クンの配慮なんだと思うと感謝せずにはいられない


「私達と先生方の橋渡し・・・・志賀先生がそんなことをして下さるんですか?」

「今田さんがご希望されるのであれば、是非。」

「・・・ありがたいです・・・宜しくお願いします。」
「先生方・・・どうかお願いします。」


自分ひとりで今田さんを背負っているのではなく
チームみんなで支えている

あたしはこの時、橘クン、そして志賀さんに改めてそう思わされた。


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