second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
『鍵?!』
「合鍵。」
『どこの?』
「うちの。」
院内PHSのストラップに自宅の合鍵を付けておくなんて、あたしの中ではあり得ない。
処置していてどうしても手が離せない時にPHSが鳴った時、他のスタッフにPHS応対をお願いすることもあるから
診察中も基本的には診察室のデスクの上に置いてある
手洗いをする時には自分の視界から外れてしまうことだってよくあるそれ
ちょっと不用心な橘クンが心配
普段はそういう隙なんかなさそうな人なのに
どうしたんだろう?
『だって、PHSにつけておかないでしょ・・家の合鍵・・・PHSをどこかに置き忘れたら、持ち逃げされちゃうよ?』
「確かにそうだけど・・・これを渡そうとしても、いつ雅とふたりきりになれるチャンスがあるかわからないぐらいお互いに忙しいから、持ち歩こうと思ってね・・・はい、コレ。」
『・・・・・・』
合鍵は正直嬉しい
ドラマでも恋愛漫画でも、合鍵はより親密になった証拠のアイテムだから
恭と物理的にも心理的にも距離が再び近付いた気がする
でも職場も一応同じだし、プライベートまで近くにいると、負担に思われちゃうのでは・・・?
それで恭との関係がダメになるのは嫌
そこはちゃんとしておきたい
『橘クン、あのね・・・』
「合鍵・・・負担?」
『そうじゃないの・・・でも、それを預かることで橘クンに逆に負担をかけてしまうのではないか・・・そう思う自分もいるの。』
「俺の負担・・・?どういう負担?」
『だから・・・橘クンの自分の時間がなくなる・・とか、あたしに独占されちゃうとか・・・そういうの・・・』
こういう純粋に甘い話
陰の世界にいたあたしが口にするなんて思っていなかった
どちらかというと今までのあたしは、家族という存在に独占されているはずの人の時間を奪うことをしてきた人間だから
いつのまにこんなふうに甘くて重いことを考える人間になったんだろう、あたし
恋愛に対しては至ってドライで
マイペースだったはずなのに
こんなことを言われる橘クンもさすがに嫌気がさしちゃうよね・・・
『ごめん、今の聞かなかったことに・・・・』
「・・・合鍵パワー、すごいな。」
『・・・合鍵パワー?』
「そう・・合鍵ひとつで雅にそこまで考えさせるなんて・・・それに雅に俺を独占されるって、大好物なんだけど。そういうの。」