【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
 私のそんな疑問は、美容院からの予約時間超過による確認の電話ですぐに消し飛んでしまった。


 なんとか間に合った。

 無事、美容院での毛先のカットとヘアセットをしてもらい、17時50分、自宅の前に立って九条さんを待っている。
 すると、目の前に黒い車が停車した。運転手の顔を見なくても、誰が乗っているのかわかる。車に疎い私ですら、高級車だと分かるフロントドアガラスから九条さんが顔をだした。

「すまない。待たせたかな」

「いえっ、全然待ってないです」

 家の外で待っていたのは私の勝手だし、なにより約束の時間前だ。彼はよかった、というと私を助手席へ乗せて、浅草方面へ車を走らせた。
 夏の夕方はまだ明るくて、フロントガラスから見える空を眺める。
 高級車のシートはまるでソファーみたいに座り心地がいいのに、緊張してしまう。

「ドレスのせいか、昨日会ったときと雰囲気が違うね」

 信号でとまると、九条さんが私に目をやる。

「や、やっぱり似合わないですか?」

 九条さんの視線が恥ずかしくて、思わず目を逸らして、やっぱり、なんて言ってしまう。

「いや、ゆきのはなにを着ても似合う」

 さらっと褒められて、私の心臓は簡単に高鳴る。
 お世辞だって分かってるけれど、健二くんが言っていた通りのことを言って貰ってしまった。褒められ馴れていない私は、彼の一言に頬が熱くなる。

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