【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
「そうか。じゃあノンアルコールのワインを貰おうか。ここはワインをオマージュした自家製で美味しいから」

 彼はウェイターにノンアルコールのワインを注文する。
 気を遣われてしまった。なんとなく申し訳ない。
 先程の車内のこともある。謝るにしても何に対して謝ればいいのか分からず、的外れなことを言ってしまいそうで怖い。私も彼も口数が多い方ではないので、なんとなく気まずくて、つい夜景をみてしまう。

 宇野堂からそう遠くないこのホテルは、何度か前を通ったことがある。
 見慣れているはずの浅草も、初めて見るような新鮮な気持ちになった。
 ここにくるまでもスマートにエスコートしてくれて、注文の仕方だって馴れている感じがする。きっと、色んな女性と来たことがあるんだろうな。

「夜景が好き?」

 臆測をしながら夜景を眺めていたら、九条さんに声をかけられてハッとする。

「はい、あまり見慣れてないのでなんだか、新鮮で」

 あと、半分は気まずくてつい、とは流石に言えない。
 彼が、ふっと目を細めて、それから少し眉を下げた。

「先程は車内ですまなかった。俺が大人げなかった」

「えっ、いえ! 九条さんが謝るようなことでは……寧ろ私が気に障るようなことを言ってしまって」

「いや、ゆきのは悪くないんだ……でも、そうだね。今度俺にもドレスを選ばせてくれないかな」

「え?」
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