教育的(仮)結婚~残念御曹司(?)のスパダリ育成プロジェクト~
 再び優しく、それでいて情熱的に唇を奪われた。
 私を抱きしめる腕に力がこもり、触れては離れを繰り返し、ためらいがちだった口づけが次第に大胆になっていく。

(……うそみたい)

 こんなふうに誰かとキスできる日が来るなんて。
 あの時以来、私にとって口づけは義務感で耐えるしかないものだったのに。

 気がつけば、私も林太郎さんの唇を夢中で追いかけていた。

「亜美さん」

 その時、林太郎さんがそっと私を離し、顔をのぞき込んできた。
 思いつめたような、ひどく真剣な眼差し――以前はきつくて怖いだけだった視線が、今は全然違って感じられる。

 私は何も言えないまま、彼を見返した。

「本当の奥さんに……なってくれないか」

 答えを返す間もなく、林太郎さんは上擦った声で続けた。

「俺と結婚してくれ、亜美さん。練習じゃなく」

 やはり何も言えなかった。驚き過ぎて、反応できなかったのだ。一瞬、息を吸うことさえ忘れていた。

「やっぱり……無理かな」

 林太郎さんが肩を落として、視線を外す。とたんに私の呪縛が解けた。

「いいえ、いいえ、違います!」
「亜美さん?」
「私、うれしくて……本当にうれしくて……だから声が出なくて」」
「それじゃ結婚してくれるのか、俺と?」
「はい」
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