俺の気持ちに気づけよ、バーカ!


「姉ちゃん」

「……ん?」

「何、ミカンくわえたまま
 ぼーっとしてるわけ?」


亮君の声にハッと驚き

過去の初恋回想から
現実に戻された私。


「ドライヤー終わったんだね」

と、ミカンをモグモグした私に

鼻の下に
人差し指を置いた亮君は


「どうだ! 
 コーチとおんなじ髪型。
 かっこいいだろ?」

と、照れ笑いを一つ。



ドライヤーを当ててもらった
亮くんの髪は

一本一本意志があるように
きちっとセットされていて

寝たら寝癖で
爆発しちゃうのにな~

そう思いつつも

オシャレに手を抜かない
桜ちゃんのこだわりが見えて、
嬉しくなる。


部屋の隅にいる桜ちゃんに
焦点を合わせる。

今度は、優くんのカール髪を
乾かしてくれている。

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