優しくない同期の甘いささやき
タイミングを間違えたかもしれないが、一応伝えて、了承も得られたから良しである。


夕方五時を過ぎてから、熊野が近寄ってきた。


「何時に終わる?」

「定時に終われるよ。熊野は?」

「俺も同じ。何食べたいか、考えといて」


私が頷くと、熊野はどこかに行った。

何を食べようかな。

あれ?

私、熊野の家で食べたいと言った?

熊野はどこで食べるつもりでいるのだろうか。

ご飯を食べたい、部屋に行きたいとは話したけれども……食べるのも部屋だと思っているのかな。

私、料理できるだろうか。

不安になりながらも、来週アップ予定のページを確認していた。


「美緒、帰れる?」


また熊野が来た。

パソコン画面右下に表示されている時刻に目を動かす。


「もうこんな時間? あ、ごめん!」

「慌てるなって。まだかかるなら、待ってるから」

「ううん、大丈夫。すぐに片付けるね」


いつの間にか終業時間が15分過ぎていた。今日は残業する人が少なく、すでに帰っている人も多い。

熊野は私の隣の椅子が空いていたので、そこに腰かけた。
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