優しくない同期の甘いささやき
本気で付いてくるかもしれない。

黒瀬さんと一緒に会社を出るのは、危険だ。待ち合わせはレストランにしたほうが良さそう。

そのことを黒瀬さんに連絡した。

定時を過ぎてから、熊野が外出先から戻っていないのを確認。今のうちに行かなければ!

「お先に失礼します」とバッグを肩にかけて、近くのデスクに座っている人たちに挨拶をする。黒瀬さんは先に退社していた。

黒瀬さんから指定されたイタリアンレストランの前に立ち、胸を高鳴らせる。念願のお食事デートができるなんて、夢のようだ。

この先に足を踏み入れたら、楽しい時間が待っている。

「いらっしゃいませ」と出迎えてくれた大学生のバイトと思われるかわいらしい女性に、待ち合わせしていることを伝えた。

すぐに相手がわかったようで、難なく案内してくれる。

窓際の席からは、ライトアップされた庭が眺めた。

案内された席は通路側だったけど、どこでもいい。向かい側に黒瀬さんがいるならば、素敵な時間が過ごせる。


「お疲れ様です。お待たせしました」

「お疲れ様。いや、それほど待っていないし、加納ちゃんが来るまでワクワクしてたよ」
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