8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
* * *
オスニエルの元に、フィオナからの手紙が届けられたのは、四日後だ。すぐに開けて、中身を確認するなり、オスニエルは立ち上がる。
「帰る」
「ちょ、ちょーっと待ってください、オスニエル様」
慌てて止めるのはロジャーだ。
「まだ話し合いは終わっていませんよ」
「大体固まっただろう。幹線道路の整備には、ダレンも出資すると言っているし、領内の業者の雇用に関しても大体決まった。後はせいぜい、ジャネットが進めたいと言っている香水の販売計画くらいだ」
オスニエルは憮然として言うが、机上の話し合いだけで終わるのならば、べつに王族がわざわざ出てこなくてもいいのだ。
「それだけじゃありませんよ。今後、円滑に工事を進めていくうえでも、ロイヤルベリー領内の貴族ともっと顔つなぎをしていかなければならないでしょう。そのために公爵も夜会を開いてくださるのですから。滞在を伸ばしたのも、夜会の予定がたくさん入ったからでしょう」
「ああ。しかし、ジャネットをエスコートするというのはどうもな」
「仕方ないでしょう。フィオナ様は王都にいるわけですし」
幹線道路沿いの土地は、今後交易で発展する可能性が高く、そこを領地とする小領主たちは喜んでいるが、逆に道路が通らない地域はむしろ衰退する可能性が高い。ロイヤルベリー公爵は、その不満を抑える意味でも、この幹線道路の整備が、王族が率先して行う国の事業であることを領内に知らしめたいのだ。
だから夜会にオスニエルが参加するのは必須だ。そして夜会には通常パートナーが必要だ。というか、オスニエルはいらないと言ったが、公爵が『領内貴族はパートナー同伴で来るのですから』とごり押ししたのだ。
そうなれば、年齢的にも釣り合いが取れ、現在は独身者であるジャネットがパートナーに選ばれるのは必須で、オスニエルとしてもフィオナが王都にいる以上、反対する理由をつけられない。
「……連れてこればよかったな」
ため息をつきながらポソリとこぼすオスニエルを、ロジャーはぱちくりとした目で見つめる。
オスニエルの元に、フィオナからの手紙が届けられたのは、四日後だ。すぐに開けて、中身を確認するなり、オスニエルは立ち上がる。
「帰る」
「ちょ、ちょーっと待ってください、オスニエル様」
慌てて止めるのはロジャーだ。
「まだ話し合いは終わっていませんよ」
「大体固まっただろう。幹線道路の整備には、ダレンも出資すると言っているし、領内の業者の雇用に関しても大体決まった。後はせいぜい、ジャネットが進めたいと言っている香水の販売計画くらいだ」
オスニエルは憮然として言うが、机上の話し合いだけで終わるのならば、べつに王族がわざわざ出てこなくてもいいのだ。
「それだけじゃありませんよ。今後、円滑に工事を進めていくうえでも、ロイヤルベリー領内の貴族ともっと顔つなぎをしていかなければならないでしょう。そのために公爵も夜会を開いてくださるのですから。滞在を伸ばしたのも、夜会の予定がたくさん入ったからでしょう」
「ああ。しかし、ジャネットをエスコートするというのはどうもな」
「仕方ないでしょう。フィオナ様は王都にいるわけですし」
幹線道路沿いの土地は、今後交易で発展する可能性が高く、そこを領地とする小領主たちは喜んでいるが、逆に道路が通らない地域はむしろ衰退する可能性が高い。ロイヤルベリー公爵は、その不満を抑える意味でも、この幹線道路の整備が、王族が率先して行う国の事業であることを領内に知らしめたいのだ。
だから夜会にオスニエルが参加するのは必須だ。そして夜会には通常パートナーが必要だ。というか、オスニエルはいらないと言ったが、公爵が『領内貴族はパートナー同伴で来るのですから』とごり押ししたのだ。
そうなれば、年齢的にも釣り合いが取れ、現在は独身者であるジャネットがパートナーに選ばれるのは必須で、オスニエルとしてもフィオナが王都にいる以上、反対する理由をつけられない。
「……連れてこればよかったな」
ため息をつきながらポソリとこぼすオスニエルを、ロジャーはぱちくりとした目で見つめる。