8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
「ああ。……フィオナに出会って、俺も少し考えを改めたのだ。以前の俺はあまりに傲慢だった。君の気持ちも考えず、勝手をしたことは悪かった」
「まあ、奥方様のおかげですの」
ジャネットは扇を広げ、笑みを浮かべた口もとを隠す。その視線に、冷やかすような雰囲気を感じ取って、オスニエルは眉を寄せた。
「なんだ」
「いいえ。仲睦まじくいらっしゃるのね」
「そうだな。すぐに帰りたいと思うくらいにはな」
「まあ」
含み笑いをして、ジャネットはオスニエルの腕に手を絡めた。やわらかい胸の感触が腕に伝わってくる。
「ジャネット、離せ」
「今日は私がパートナーでしょう」
オスニエルは強引に手を外そうとしたが、離れる前に会場に着いてしまった。
多くの客の視線にさらされ、挨拶を受け始めると、ジャネットにかまっている場合ではなくなる。
幹線道路整備は、フィオナの願う貿易拡大政策にもつながるものだ。公爵領民の反対が出ては、話が面倒になる。
「皆、今日はよく集まってくれた。この度の道路整備事業は、必ずや国益をもたらし、皆の暮らしを助けるものになると思っている。陛下ももちろんそうお考えだ。ぜひ、皆にも盛り立てて行ってもらいたい」
オスニエルの快活とした挨拶に、参加した貴族たちは目尻を緩ませる。
とりあえず、これが王家主導の事業だということが伝わればいいだけなので、その後は、挨拶にやってくる貴族の相手をしていた。
「オスニエル様、どうぞ、お飲み物を」
ジャネットが、様子を見てオスニエルに飲み物や食べ物を渡してくる。主催者だからこその気遣いなのかもしれないが、そのかいがいしい姿に、招待客の中にはふたりの関係を邪推する者たちもいた。
「やはり他国の姫ではオスニエル様をつなぎとめられなかったのですかね」
「そもそも、ジャネット様との方がお似合いですからな」
などと、フィオナには聞かせられないような噂も、水面下で広まっていったのだ。
「まあ、奥方様のおかげですの」
ジャネットは扇を広げ、笑みを浮かべた口もとを隠す。その視線に、冷やかすような雰囲気を感じ取って、オスニエルは眉を寄せた。
「なんだ」
「いいえ。仲睦まじくいらっしゃるのね」
「そうだな。すぐに帰りたいと思うくらいにはな」
「まあ」
含み笑いをして、ジャネットはオスニエルの腕に手を絡めた。やわらかい胸の感触が腕に伝わってくる。
「ジャネット、離せ」
「今日は私がパートナーでしょう」
オスニエルは強引に手を外そうとしたが、離れる前に会場に着いてしまった。
多くの客の視線にさらされ、挨拶を受け始めると、ジャネットにかまっている場合ではなくなる。
幹線道路整備は、フィオナの願う貿易拡大政策にもつながるものだ。公爵領民の反対が出ては、話が面倒になる。
「皆、今日はよく集まってくれた。この度の道路整備事業は、必ずや国益をもたらし、皆の暮らしを助けるものになると思っている。陛下ももちろんそうお考えだ。ぜひ、皆にも盛り立てて行ってもらいたい」
オスニエルの快活とした挨拶に、参加した貴族たちは目尻を緩ませる。
とりあえず、これが王家主導の事業だということが伝わればいいだけなので、その後は、挨拶にやってくる貴族の相手をしていた。
「オスニエル様、どうぞ、お飲み物を」
ジャネットが、様子を見てオスニエルに飲み物や食べ物を渡してくる。主催者だからこその気遣いなのかもしれないが、そのかいがいしい姿に、招待客の中にはふたりの関係を邪推する者たちもいた。
「やはり他国の姫ではオスニエル様をつなぎとめられなかったのですかね」
「そもそも、ジャネット様との方がお似合いですからな」
などと、フィオナには聞かせられないような噂も、水面下で広まっていったのだ。