王子の盲愛
「王弥!?」
「「八神(王弥)様!?」」

三人がびっくりして王弥を見る。

「僕、知ってたよ?
沖津が理世を意識してるの」

「王弥、知ってたの」
沖津は、目を丸くしている。

「高校の時、正直…堤崎と付き合ってるって思ってた。ほぼ毎日、堤崎が送り迎えしてたでしょ?」
「え?あ、はい。
中学の時のこと……って言ったらわかるかな?
その事があって、おばさんが心配してて……」

中三のいじめのことだ。
明文の言葉に、王弥は頷いた。

「うん。
ある時…確か、高三の秋位かな?
沖津が一緒に来たのを見て、僕にはわかった。
あ、沖津が理世を意識してるって……
あの時の沖津の顔が、明らかに恋してたから。
生まれて初めて、焦った。
沖津は頭がいいから父さんも警戒してたし、僕も沖津のことは、ずっと意識してた。
沖津なら、理世の心を奪えるかもって!
僕、それまで焦りとか…動揺したことなかったのに、あんな気持ち初めてだよ。
だから、理世に結婚を申し込んだんだよ!
恋人とかそんなのじゃなくて……太くて強い繋がりが欲しかった」

「フッ…!だろうとは思ってたよ!
王弥が結婚を申し込んだって聞いてから、おそらくそうだろうなぁって!」

真っ直ぐ見据える王弥に、沖津も真っ直ぐ見て言う。

「相変わらず、二人はスゲーな!!
お互い賢いから、先を見据えて、行動してる。
さすが、No.1・No.2だな!絶対敵に回したくない!」
財前が王弥と沖津を、見比べて言った。

「理世も、凄いけどね!」
明文が言う。
「確かに……王弥様の嫁なんて、末恐ろしい……」
明文の言葉に、財前が身体を震わせる。

「理世ちゃんは、強い子だよ!
僕の狂愛、必死に受け止めてくれてるもん!
…………だから、余計に放せない!」

「そうかもな……」
三人が、口を揃えて言った。


それからマンションに帰った、王弥と理世。

「王弥く……お願い…休憩させ…て…」
「やだ!ダメ!
僕、嫉妬で狂ってるの!
だから、まだまだ…終わらせない!」

ベッドに直行し、狂ったように王弥に抱かれている理世。
何度、果てたかわからない。

「なんで、触らせたの?」
「だから、私達…兄妹みたいな関係だから……」

「私達?
私達って、何!?
誰と、理世?」
「え……」

「堤崎?
………なわけないよねー!」
組み敷いて、見下ろす王弥の顔が恐ろしい。

「王弥く……」
「私達って言葉使うなら、僕と理世の場合だけだよ?
理世、もっともっと教え込まないとね!
心と身体に……!」

「やぁ…も…だめぇ…」

「理世は、誰のモノで、誰を見て、誰の声を聞いて、誰の名前を呼ぶのか……!」

一晩中、狂い抱かれた。
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