月夜に笑った悪魔 SS
「意識してくれてんのはすげぇ嬉しい」
さらにそんなことまで言われてしまえば、私はもう暁の背中に隠れることしかできなくなる。
「あ、あとは自分でやって……っ!」
ボディタオルを暁の膝の上に置いて、私は目を瞑った。
「ぜんぶ洗ってくんねぇの?」
「……あとは手、届くでしょ」
「……じゃあ自分で洗うから顔見せろよ」
「……無理」
「かわいーから隠すなよ」
「……っ」
「美鈴、見せろ」
聞こえてくる声。
彼が洗っている音は聞こえてこないから、私が顔を上げるまで洗う気はないのか……。
まったく……暁はっ!
私はぱっと顔を上げた。
そうすると、振り向いている彼と目が合う。
視界に映るのはやっぱり楽しそうに笑う彼。
数秒目を合わせ、私はすぐに後ろを向いた。