月夜に笑った悪魔 SS


「顔見せたから早く洗って……!」
「もっと見せろよ」


「ヤダ!早くしないと私、あっち戻るから!」
「……わかったって」



渋々返事が聞こえてくると聞こえてくる音。
今度はちゃんと洗ってるみたいだ。


なにも話さないというのもそれはそれで……また、変な想像をしてしまうもの。



私は変態じゃない。
変態じゃないのに……。


邪念を振り払うために私は口を開いた。


「……ねぇ、暁」
「ん?」


「……呼んでみただけ」
「なんだそれ」


声をかけても、話すことなんてなかった。
なにも考えられない。



なにか言おう、って思っても結局はあれ以上なにも言えず……。



「洗い終わった」と聞こえてくれば私はまた彼のほうを向いて、手を伸ばしお湯を出した。
その時に──



「待て──、」


暁が声を出したのと同時、私の顔に勢いよく水がかかった。

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