月夜に笑った悪魔 SS
床に置いていたシャワーヘッド。
……床に置いていたこと、すっかり忘れてた。
慌てて水をとめるも、もう遅く。
私からはポタポタと水が滴り落ちていく。
そんな私を見た暁は、ふはっと吹き出して大笑い。
「バカか」
浴室に響く彼の声。
こんなに笑う暁を見たのははじめてだった。
……少し幼さを感じる可愛い笑顔。
普段の暁は私より歳上に見えるけど、寝顔と笑顔だけは別のようだ。
こういう姿を見せてくれるってことは、私はちゃんと暁が心を許せる存在になれてる、ってことだよね?
それはすごく嬉しい。
「なんだよ?」
思わずずっと見ていると、彼は私の視線に気づいて首を傾げた。
「好きだなって思ってるだけ」
それだけ返すと私は濡れた顔を手で拭い。
シャワーヘッドを手に取り、またお湯を出した。
「…………」
急に無言になる彼。
彼の体の泡を流しながら、鏡越しの彼に目を向けた。