月夜に笑った悪魔 SS


床に置いていたシャワーヘッド。
……床に置いていたこと、すっかり忘れてた。


慌てて水をとめるも、もう遅く。
私からはポタポタと水が滴り落ちていく。


そんな私を見た暁は、ふはっと吹き出して大笑い。



「バカか」


浴室に響く彼の声。
こんなに笑う暁を見たのははじめてだった。


……少し幼さを感じる可愛い笑顔。
普段の暁は私より歳上に見えるけど、寝顔と笑顔だけは別のようだ。


こういう姿を見せてくれるってことは、私はちゃんと暁が心を許せる存在になれてる、ってことだよね?


それはすごく嬉しい。



「なんだよ?」


思わずずっと見ていると、彼は私の視線に気づいて首を傾げた。



「好きだなって思ってるだけ」


それだけ返すと私は濡れた顔を手で拭い。
シャワーヘッドを手に取り、またお湯を出した。


「…………」

急に無言になる彼。
彼の体の泡を流しながら、鏡越しの彼に目を向けた。

< 21 / 36 >

この作品をシェア

pagetop