月夜に笑った悪魔 SS
ビクッと体が反応すれば揺れる浴槽のお湯。
上気して目にたまる涙。
……熱に溺れていく。
ダメなのに……気持ちよさには抗えない。
もっと触れてほしい、って思ってしまう。
「あか、つき……っ」
頬に添えられたままの手の上に自分の手を重ね、彼を呼ぶ。
そうしたところで、ピタリと暁は動きを停止。
瞬時に私から離れて、一瞬目を合わせるとすぐに逸らした。
「……?」
「……出る」
ぽつりと呟き、立ち上がる彼。
浴槽から出ていくから、ぽつんとひとり残される私。
骨折をした暁が浴槽に入ることはよくないこと、なんだけど……急にひとり残されるのは寂しさが込み上げるもの。
……むしろ、暁は浴槽から出てよかったはずなのに。