月夜に笑った悪魔 SS


ビクッと体が反応すれば揺れる浴槽のお湯。

上気して目にたまる涙。


……熱に溺れていく。
ダメなのに……気持ちよさには抗えない。


もっと触れてほしい、って思ってしまう。




「あか、つき……っ」



頬に添えられたままの手の上に自分の手を重ね、彼を呼ぶ。


そうしたところで、ピタリと暁は動きを停止。
瞬時に私から離れて、一瞬目を合わせるとすぐに逸らした。


「……?」
「……出る」


ぽつりと呟き、立ち上がる彼。
浴槽から出ていくから、ぽつんとひとり残される私。


骨折をした暁が浴槽に入ることはよくないこと、なんだけど……急にひとり残されるのは寂しさが込み上げるもの。



……むしろ、暁は浴槽から出てよかったはずなのに。

< 27 / 36 >

この作品をシェア

pagetop