月夜に笑った悪魔 SS
もっとキスしたかった。
もっと触れたかった。
……ぜんぜんたりないよ。
私も浴槽から出ると彼のあとを追う。
「……暁、キス、もう1回しよ」
浴室から出ていきそうな彼の左手をつかんで引きとめた。
だけど、返ってきた言葉は「ムリ」のひと言。
私のほうを見ようともしない。
……なんで。
いつも暁から強引にしてくるくせに……。
「……私もムリ。キスしたい」
ムリ、って言われてもそう簡単に引き下がれない。
離さないようにつかんだ手にぎゅっと力をいれた。
そうすると、やっとこっちを見てくれた彼。
視線が合って、数秒後には口を開く。
「……煽るんじゃねぇよ。これ以上すると抱きたくなるからやめたんだろ」
じっと見つめられて心臓が大きく跳ねる。