メール婚~拝啓旦那様 私は今日も元気です~

翌日は十二月にしては温かい朝だった。旅行中の洗濯物を洗い、引っ越しの準備を始める。三ヶ月ごとの移動は月初めの一日と決まっているが、お正月を挟むこの時期だけは、一月に入ってから移動する。今回は一月五日が引っ越し日になっていた。

昼前に、ふっと電気を消したように暗くなった。慌てて外を見ると真っ暗だ。ゴロゴロと雷の音もするので、急いで洗濯物を取り込んだ。家の中に戻って窓を閉めた途端、凄まじい雷鳴と共に大粒の雹(ひょう)が降り始めた。

雹は音を立てて地面に転がり、あっという間に積もっていく。窓には庇があるが、それでもガラスに直接当たる音がして、灯里は震えあがった。

急いでベッドに行き、毛布を頭からかぶる。雷の音をこんなに身近で聞いたのは初めてだ。

『お願い。早く終わって』

祈るような気持ちでいると、音がだんだん静かになってきた。亀の子のように毛布から頭だけを出して周りを伺ってみると、真っ暗だった外は光が射し始めている。

嵐は過ぎ去っていた。時計を見るとわずか数十分間の出来事だ。

外の被害を確認しようと出てみると、大小の氷の塊が地面を覆っている。
不二子ちゃんはカーポートの屋根がちゃんと守ってくれていて無事だったが、大家さんの家は窓ガラスが割れて被害を受けていた。青い顔で震えている二人を慰め、お茶を淹れて落ちつかせる。割れたガラスを片付けていると近所の人も来てくれて、窓の応急処置もすぐにできた。

冬場の雹は珍しく、しかも多くの被害を与えたようで、小さな町がいきなり全国区のニュースに取り上げられ大騒ぎになった。


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