メール婚~拝啓旦那様 私は今日も元気です~

「そうなんですか!ヤマダさんは会社創立当時から、安西のことを支えて下さってたんですね」

ありがとうございます、と灯里は頭を下げた。

今西が突然連絡もなく現れるのは初めてではない。でも、晴夏以外の人を連れてきたのは初めてだった。

ヤマダと名乗るこの人は、会社創立当時からのメンバーらしい。クリエイトウエストは、安西と今西の二人で始めた会社だと聞いた気がしたが、三人だったとは知らなかった。

クリエイトウエストの『ウエスト』は、二人が始めた会社だから共通の『西』をつけたのだと勝手に思っていたけど、それも違うのだろうか。

でも、ヤマダさんがかわいそう。三人なら、『クリエイトウエストマウンテン』にしたらよかったのに。長すぎるから多数決で負けた感じ?

会社発足時の話をつらつらと聞きながら、灯里はぼーっとヤマダを見ていた。

最初、今西の斜め後ろにいたヤマダを見た時、灯里はドキッとした。
安西に会いたいとメールをしたので、会いに来てくれたのかと思ったのだ。

初めて会ったヤマダは懐かしい感じがした。
見上げるほど背が高く、爽やかなイケメンに面識があるはずなどないけど。

『ヤマダです』と言われて、がっかりしてしまったのは申し訳ない。

安西との偽装結婚についてヤマダは知っているのか気になったけど、今西に確認することもできないまま会話は進んでいた。

『安西のことを支えてくださったんですね』
なんて、本当は顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。でも、普通の妻ならそれくらいの挨拶はするだろう。

ヤマダも照れているように見えるのが謎だが、灯里はにこやかに話を聞いていた。

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