メール婚~拝啓旦那様 私は今日も元気です~
『拝啓旦那様
厳しい寒さが続きますが、いかがお過ごしですか?私は最後の赴任地にやって参りました。
有終の美を飾るべく、がんばってこの土地のいい所を発掘したいところですが、やっぱりプロの方には敵わないようです。
先日、今西さんと一緒にヤマダさんが来られて、その仕事ぶりに感心いたしました。旦那様もこんな感じでお仕事をされているんでしょうか。ヤマダさんと旦那様を少し重ね合わせて見てしまいました。これからはヤマダさんがちょくちょく来て下さるとのこと、心強く思っております。
旦那様にお目にかかるのは難しそうですか?お忙しいと承知しながらも、ヤマダさんと一緒に来てくださるのをお持ちしております。末筆ながら、私は今日も元気です。灯里』
「ヤマダと一緒にいくのは無理なんだよ」
メールを読み終えた安西は頭を抱えた。
あの日、灯里には本当のことを言えないまま帰宅することになった。しかも担当者なのでちょくちょく来ますね、なんてさらに自分の首を絞めるようなことまで言って…
「なあ、どうし…」
「俺は知らない」
最後まで言う前に、今西は突き放した。
「灯里ちゃんからのメールだろ?すべてはお前が始めたことだからな。まあ、がんばれよ、ヤマダ」
安西はこれほどまでの窮地に陥ったことはなかった。でも、自分で蒔いた種だ。次に行ったときに正直に言うしかない。
灯里は何ていうだろうか…
あーあと深くため息を吐いた。