契約結婚のススメ
 幼少期から芸能界にいてそれなりに有名だったから、学費を優遇されて青扇学園に入ってきただけだ。

 親族の反対を押し切り、駆け落ち同然で結婚したが夫はろくに働かず離婚。美加の母親は苦労して美加を育てたようだ。

 身内の中で唯一、希子さんが手を差し伸べていたらしい。

『枇杷亭の話、希子おばさまと進めるから、あなたは賛成してくれるだけでいいわ』

 希子さんが美加をかわいがつていたとしても、美加に枇杷亭を継がせるのはなぜだ。協力的な理由が、いまひとつわからない。

 伯父のろくでない映像を、希子さんや陽菜に突き付けられるのを避けたくて、この件には触れずにいたが、もう限界だ。

 東京に帰ったら、希子さんと腹を割って話をするしかない。

「はぁ」

「ボス。どうしました? 顔色がよくないですが、体調が悪いんじゃないですか?」

 ピーターが心配そうに俺をジッと見る。

「いや、大丈夫だ」

 なんだかんだで昨夜もよく眠れなかった。

 寝不足は効率が悪い。今夜はとりあえずゆっくり寝よう。

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