契約結婚のススメ
 秘書の森下さんもナオミさんも柳美加も。週刊誌を賑わせる女性達もすべて、宝石のように輝いている。

 結婚前は自由に彼女たちとデートしていたんだろうに、私に時間を取られてつまらなくないのかな……。

 キュッと胸が苦しくなる。



「いらっしゃい」

 家には義母がひとりでいた。シノさんは料亭で仕事らしい。

「よかったわね、一貴さん。たいしたことなくて」

「うん。本人も無理し過ぎていたって反省していたから、これからは少しセーブしてくれると思う」

 義母へのロサンゼルスのお土産は、義母に似合いそうなブラウス。これもロデオドライブで買った高級品だ。シノさんはじめ仲居さんたちには髪留めを買ってきたから渡しておいてもらおう。

「おかあさん、すごく似合う」

「そう? ありがとう」

 うれしそうな義母の笑顔に決意を固める。

 どうかわかってほしい。

「あのね、おかあさん、折り入って相談があるの」

「ん?」

「私、赤ちゃんができたみたいなの。だから一貴さんと離婚したい」

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