契約結婚のススメ
 義母はあぜんとしたまま、しばし瞬きを繰り返した。

「ちょ、ちょっと待って。喜んでいいのか悲しんでいいのか。ちゃんと説明してちょうだい。いつ妊娠がわかったの?」

「ロサンゼルスから帰ってきた次の日。ずっと生理が遅れていたし、気になって病院に行ってみたら妊娠しているって。七週目だってお医者さんが言ってた」

「それで、どうして離婚なの?」

 どこからどう説明したものか迷ったけれど、最初から順を追って説明した。

 父を安心させたくて、私からお願いした契約結婚だったという話からひとつずつ。

「結婚さえしてくれれば、浮気をしても自由だと私は条件をつけて、一貴さんは受け入れてくれたの」

「じゃあ、一貴さんにはほかに誰かいるの?」

「それは、よくわからない」

「だったらどうして、赤ちゃんを喜んでくれるでしょう?」

「だからよ。一貴さんは南城家の跡取りがほしいって言ったの。私にはこの子しかいないのに」

 涙が溢れてくる。

「陽菜?」

「この子、一貴さんに取られちゃう」

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