契約結婚のススメ
「あの、陽菜の部屋で寝てもいいですか」

 神妙に聞くと、希子さんはクスクスと笑った。

「好きになさいな。まだ夫婦でしょ」

 まだとは不吉な。

 風呂に入り、陽菜の寝ているセミダブルのベッドに潜り込んだ。



***



 ふと、目が覚めると、目の前に覗き込む一貴さんがいた。

「おはよう」

「え、一貴さん、いつの間に」

「夕べ来たんだよ」

 もぞもぞと起き上がり時計を見た。

 まだ朝の五時半。一貴さんは朝に弱いはずなのに。

 頬をなでられて、チュとキスをした。

「俺になにか話があるんじゃないのか?」

 えっと、あるにはある。とても重要な話が。

 でも。こんなふうにベッドの上で、朝からする話じゃないから。

「一貴さん。今日はお休み?」

「ああ」

「じゃ話は後にして、もう少し寝よう」

 一貴さんはちゃんと休まなきゃ。

 布団を引っ張って潜り込もうとすると、その手を止められた。

「気になって眠れない。電話、どうして切っているんだ?」

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