契約結婚のススメ
 一貴さんの手を私のお腹にあてた。

「双子なんだって。もう心臓が動いてるの」

「えっ」

 絶句した一貴さんは、私の顔とお腹を交互に見る。

 そして破顔した。

「お、お前は本当に」

 いきなり抱きついた一貴さんは、またクックックと笑い出す。

「最高の女だな」



 それから数日後。美加は芸能界を引退しないという記事がネットのニュースになっていた。

 私はもうネットのゴシップ記事は見ないから大丈夫なのに、一貴さんの怒りは収まらなかったらしく、誤解を招く写真で名誉を傷つけたとして、本当に美加を訴えたらしい。

 一貴さんが美加から直接、私にかけてきた例の卑猥な電話の内容を聞いたのが、決めてになったようだ。

『あの女。絶対に許さねぇ』と、大層ご立腹だったから。

 美加としても今回の出来事で長年培ったキャリアを潰すわけにもいかず、とにかく謝っているらしい。

 私は、今回の件でちょっと強くなれた。

 そのための授業料を払ったと思って、誰も恨まずに前に進もうと思っている。

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