契約結婚のススメ
「も。もちろんです!」
「クルーザーなんて初めてなので」

「そうですか。あとで優待券をお渡ししますので、是非今度ご利用してみてください」

 優待券と聞いて、皆パアッと笑顔になる。

「ありがとうございます!」

 ほんの数分の短い時間で彼女たちの心をつかんだ彼は最後に「では、どうぞゆっくり楽しんでください」と、軽い会釈を残して背を向けた。

「あー、びっくりした」

「皆すっごく緊張してたね」

「当然だよー。あんな素敵な旦那様とずっと一緒とか、陽菜、よく心臓が持つね!」
「本当だよもう。気絶するほどかっこいいんだもん」

「あはは、ありがと」
 まあ確かにその通り。彼のイケメンぶりには私だってまだ慣れない。

「陽菜、あいさつは終わったの?」

「うん。ひと通りね」
 後は見送りの時間まで、自由に過ごすだけだ。

「じゃ、座って座って!」

「ありがとう」

 椅子に腰を下ろすと、スゥッと力が抜けた。

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