契約結婚のススメ
 イミテーションな結婚も、いつか本物に変わったりするのかな。

 籍を入れた時、彼は言ってくれた。

『陽菜、ずっと一緒にいよう』

 いいのかな。

 ねぇ皆どう思う? って。聞けたらいいのに……。



***



 視線の先で、陽菜が友人たちと楽しそうにテーブルを囲んでいる。

 賑やかなその様子を見ていると、「若いなー」と友人の氷室仁が笑った。

「陽菜ちゃんまだ大学卒業したばっかだもんなー。もしかしてあれ? 好みの女性に育てる的な?」

「人をスケベジジイのように言うな。俺だって二十代だぞ」

 六歳しか離れちゃいない。
 ひと足早く三十になった洸が「一歳見栄張るとは見苦しいやつめ」と鼻で笑う。

「しかし驚いたぞ。お前が結婚するなんてな。俺たちの中で一番遅いと思っていたのに」

「だよな。どういう風の吹き回しだ。ん?」

 怪訝そうに俺を見つめる友人たち。
 それも当然だろう。俺自身が不思議に思っているのだから。

「まあ。なんとなく」

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