契約結婚のススメ
「プハッ。もっとましな返事はないのかよ」

 呆れたように苦笑する友人その一、氷室仁。

「なるほどな。なんとなくならわかる気もする」

 澄まし込むのは友人その二、西園寺洸。

 お前たちも陽菜の婿候補に挙がっていたとは知らないだろう。

 希子さんから聞いていた。どんな候補者がいるのかと。まあ、こいつらが親のいいなりに見合いをするとは思えないが。

「見合いなんだろ?」

「決めたのはな。でも一年前にローマで会ったんだ」

「へえー、まさか、ナンパしたのか?」

「おい、俺が女をナンパするわけがないだろ」

「ははっ、そりゃそうだ。一貴は、女には潔癖症だもんな」

 その通り、見知らぬ女に声をかけるとかありえない。

「スリに遭って彼女に助けてもらったんだ」

「え? 逆じゃないのか?」

「まあ、色々あったのさ」


 陽菜と見合いをしたきっかけは、半年ほど前になるか――。

 久しぶりの休みが取れて俺は昼過ぎまで寝ていた。

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