御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
菫はボトルの中央のラベルに書かれている『すみれ』という文字を見て驚きの声をあげた。

「すごい、私と同じ名前のワインがあるなんて知らなかった」

淡い紫のラベルにそれよりも濃い紫ではっきりと書かれているすみれという文字。

流麗的な毛筆体で、かなり目を引くデザインだ。

菫は興味深げにラベルを読み進める。

「山梨産ワイン? そうか、ブドウで有名だもんね」

菫は自分と同じ名前を持つワインに喜び、視線で黎からの許可をもらって慎重にボトルを手に取った。

一般的によく見かけるいかり型と呼ばれる形状で、ほどよく冷えていた。

「黎君がわざわざ取り寄せてくれたの?」

「いや、取り寄せたわけじゃない」

黎は菫の隣の椅子に腰をおろし、意味深な口ぶりで答える。

「裏ラベルを見てみろ」

「裏?」

黎に言われた通りに菫はボトルを半回転させ裏ラベルを確認する。

そこには山梨ワインと書かれていて、収穫地も醸造地も山梨だとわかる。

続けて読み進めていた菫は、ふと視線を止めた。

「ねえ、これって偶然? 製造者が紅尾ワインと書いてあるけど、まさか黎君の会社と関係があるの?」

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