御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
紅尾ホールディングスは各産業に進出し手広く事業を展開しているが、飲料水関連の会社を持っていた記憶はない。

「いや、今は関係ないな。だけど、いずれ父親がうちの傘下に欲しがるレベルまで成長させるつもりだ。このワインは一年ほど前に販売を始めた、知る人ぞ知る貴重なワインでかなり売れてるんだ」

「え? それって、まさか黎君がこのワインを作ってるの?」

今の黎の話しぶりだとそう思うのが自然だろう。

菫はさらにわけがわからず眉を寄せた。

「俺が作ってるわけじゃない。俺は長くワインを製造している農家から葡萄畑と醸造所を買い取っただけだ」

「へえ、畑を買い取ったんだ・・・・・・え? 葡萄畑を?」

菫は手元のワインと黎の顔を交互に見ながら目を丸くする。

ワイン用の葡萄を生産する畑はかなり広い。

それを買い取ったとは信じられない。

けれど黎は紅尾ホールディングスの御曹司だ、自分の尺度で判断してはいけないと思い直す。

「たまたま縁があったんだよ」

言葉を失う菫に苦笑し、黎は話し始める。

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