御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
世界各国に活動の場を広げている紅尾の名前がつけば、それだけで売り上げが伸びそうだ。

菫は改めてワインを眺め、黎のアクティブな仕事ぶりに感心する。

黎はキッチンからソムリエナイフを取ってきてボトルに手を伸ばした。

「ワインを作るために、長い間家族総出で葡萄畑を守ってきたんだよ。気候に影響されて満足いく葡萄が収穫できない年もあったのに、いつも楽しそうに葡萄を作っているのを見てきたから、どうしても守りたかったんだ。子どもの頃は収穫の手伝いもさせてもらってたし」

黎は目を細めボトルを愛しげに眺めている。

黎がワインに詳しいのは知っていたが、菫はそんな背景があったと初めて聞いた。

親しいつもりでいたが、黎にはまだまだ知らない一面があったのだと、今さらながら実感する。

「あの家族、ワイン作りひと筋の人たちだからな。地域の人たちの働き口でもあるし。分野は違えど家族総出で紅尾グループを支えてる俺にはその気持ちが理解できて、他人事じゃなかったんだ」

「家族総出」

菫はその言葉にひっかかりを覚えた。

そしてふと、実家の幼稚園の手伝いをしていた頃を思い出した。

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