御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
黎は菫の隣に腰かけ手慣れた動きでワインのコルクを抜く。

小気味いい音が部屋に響いた。

「家族、というよりお母さんには連絡したのか?」

グラスにワインを注ぎながら、黎は菫を見やる。

一瞬にして広がったワインの芳醇な香りに、菫は感嘆の息を吐いた。

「お見合いの話、ちゃんと断ったんだろうな」

「えっと、それは」

「は? まだ断ってないのか? だったら俺に直接話をさせてくれ」

黎はグラスを菫に手渡しながら、不機嫌そうに顔を歪めた。

「それはいいよ。何度電話をかけても出てくれないからお見合いは断ってほしいってメッセージを残してる。既読無視だけど」

菫はグラスを手に肩を落とす。

ここ数日毎日時間を変えて母に電話をかけているが、一向に出ないのだ。

「菖蒲に電話をしても同じで、早く帰って来てってメッセージが何度か届くだけで。あ、でも、お見合いなんてするつもりはないから大丈夫」

わざと軽い口調を意識してそう答えるが菫の表情は固く、黎は眉を寄せる。

「本当に大丈夫なのか? かなり強引なお母さんのようだけど」

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