御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
香りだけでなく見た目も興味深い。

「だったら飲んでみろ。あ、菫好みのフルーティーで甘いワインだから、いきなり飲み過ぎるなよ」

よほど気に入っているワインなのか、そう言いつつも黎の目は菫が口にするのを期待しているように見える。

「じゃあ、早速。いただきます」

菫はわくわくしながらワインを口に含んだ。

「ん、本当に甘い。葡萄はもちろんだけど、リンゴや梨の香りがする」

「気に入った?」

「うん。ワインの善し悪しはわからないけど、このワインはおいしい。それに私と同じ名前なんて偶然、すごく縁を感じる」

菫は続けてもう一度ワインを口に含み、満足そうな笑みを浮かべる。

「偶然じゃないんだ」

黎はワインをひと息に飲み干し、空になったグラスをテーブルに置いた。

「このワインは俺が葡萄畑を買い取った直後に完成したものだ。だから記念に俺にネーミングしてくれと頼まれて〝すみれ〟とその場で決めた」

「え、ど、どうして私と同じ名前?」

菫は手にしていたグラスをテーブルに戻し、首をかしげる。

ワインの名前は色々あるが地名や生産者の名前が多いようなイメージだ。

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