御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
それがなぜ自分と同じ名前なのかまったくわからない。

眉をひそめ考えこむ菫の頭を、黎は何度も撫でる。

普段よりも雑な動きに菫が視線を上げると、黎は喉の奥を震わせ笑っていた。

「この期に及んで鈍いよな」

「鈍い? え、なにが?」

きょとんとする菫に、なおも黎は笑っている。

「人生の節目になる商品だから一生大切にしたい名前にしようと思って。だから〝すみれ〟」

黎は真剣な目を向けきっぱりと言い切った。

「あの、一生、それって」

「そう。一生大切にしたい惚れてる女の名前をワインにつけた」

菫の目尻を指先で撫で黎は言葉を続ける。

その目は限りなく優しく、菫を慈しむように見つめている。 

「俺らしくないよな。惚れてる女の名前をワインにつけるなんて、恋愛ドラマの見過ぎだろって感じだよな」

黎は口早にそう言いながら菫から視線を逸らし、椅子の背に勢いよく身体を預けた。

居心地が悪そうに首をさすり、自分のグラスに再びワインを注ぐ。

黎が手にしているボトルのラベルを、菫は改めて見つめる。

「私の名前・・・・・・」
 
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