御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
想像もしていなかった事実に感極まり、菫の鼓動が激しく音を立てている。

黎と想いを寄り添わせたことで運を使い切ったと思っていたのに、まだまだ幸運は続いている。

「私、恋愛ドラマのヒロインみたい」
 
涙をこらえくしゃりと笑った菫の顔を、黎は手のひらで愛しげに包みこんだ。

「結局、その後すぐに菫が婚約したって聞いて菫にこのワインを飲んでもらうのはあきらめた。本当ならこのワインとスミレの花束を手渡して好きだって伝えるつもりだったのに。恋愛ドラマのヒロインになりそこねて残念だったな」
 
拗ねた口ぶりでつぶやき、黎は菫の頬をつまんで軽く引っ張った。

「かわいい顔して俺を振り回すし、鈍感だし。とんだヒロインだな。ある意味コメディーだ」

「かえすがえすごめんなさい」

「いいよ。お互い様だって言っただろ。これ以上謝るな」

「い、いひゃい」

両手で菫の頬を引っ張り、黎は笑い声をあげている。

「この顔、やっぱりコメディーのヒロインだな」

「も、もう」

菫は頬を引っ張る黎の手を引き離してすくっと立ち上がると、そのまま黎の膝に腰かけ、首にしがみついた。

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