御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
あまりにも黎の言葉がうれしくて鼻の奥がつんとして涙がこぼれそうだ。

「それに、目が覚めるたびに苦しくなるのは菫だけじゃない。俺も同じだ。離れた瞬間から会いたいし触れたい。だから、俺のためだと思ってここで一緒に暮らしてくれ」

畳みかけるような黎の声に諭され、菫はついうなずきそうになる。

口調は厳しいが黎の言葉が甘く聞こえるのは本心では黎の提案を喜んでいる菫の錯覚だろうか。

「私……」
 
菫の揺れる心を読み取ったのか、黎はここだとばかりに言葉を続ける。

「邪魔をしたくないと思わずに、俺が邪魔だと思うくらい側にいてほしい。それに、毎日家に帰れば菫に会える。そんな楽しみを俺にくれないか?」

「……そんなことを言われたら断れない。だって私も一緒に暮らしたいから」
 
錯覚ではなく間違いなく甘い。

菫は蕩けるような黎の視線と言葉に脱力した。

長く想い続けている相手に求められている。

それは両親からの愛情に恵まれなかった菫にとって初めての感覚だ。

大切にされるというのはこれほどまでに人を幸せな気持ちにするのだと実感する。

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