御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
いきなり電話をかけ始めた黎に違和感を覚えつつも、菫は邪魔にならないよう息を潜めジッとする。

すると想定外の話が始まり菫は身を起こした。

「そう、明日の引っ越しを依頼したいんだけど、どうだ?」

「れ、黎君」

菫が驚きのあまり声にならない声をあげると、黎は会話を続けたまま人差し指を口に当て静かにするよう伝える。

「で、でも」
 
菫はハラハラしながら黎の言葉に耳を傾ける。

黎が心配性だとわかっているし、菫を甘やかし大切にしてくれるのも感謝している。

それはわかっているのだが、ひと言相談してくれてもいいのではないかと眉を寄せる。

それからしばらくして電話を終えた黎は、納得できない表情の菫の頭をくしゃりと撫でた。

「なにも心配しなくていい。俺に任せろ」

「任せろって、全部手配したあとで言われても困る。今電話をしていたのって引っ越し業者でしょう? 明日の引っ越しの手配をしちゃうなんて、いきなりすぎる」

黎は今の電話で明日菫の荷物を自宅から運び出しここに搬入するよう手配していたのだ。

相手とは長い付き合いで無茶を聞いてもらえる間柄のようだが、それにしても、展開が早すぎる。
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