御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
作業にひと区切りつけたふたりは、黎がよく通っているという天ぷらの店で夕食を楽しむことにした。

そこではカウンターで料理人と会話を楽しみながら揚げたての物を食べられ、広くない店内は淡いオレンジを基調にした優しい雰囲気で、菫はすぐに気に入った。

ふたりはカウンター席に案内され、早速メニューを広げて見る。

「どれもおいしいけど、海(え)老(び)が大きくて食べ応えがあるんだ。もちろんサクサクで絶品」

「いいね、大きな海老。あ、私かき揚げも好きなの。自分で作るとどうしてもしんなりしちゃうから滅多に作らないけど」

「じゃあ、それも頼もう。あとはおまかせで何品か揚げてもらうとして。あ、デザートはアイスの天ぷら。俺、これが食べたくていつもここに来てる」

黎はよほど天ぷらが食べたかったのか、目を細めどこかはしゃいでいるように見える。

マンションからここに来るときも足取りは軽く、菫とつないだ手を何度も振っていた。

「黎君、昨日も仕事で遅かったのに今日一日引っ越しに付き合ってもらってごめんね」

黎は菫以上に張り切って引っ越し業者に指示を出し、テキパキと作業を進めていた。

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