御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
かなり疲れているはずだ。

「あとは私ひとりでできるから、家に帰ったらお風呂に入ってゆっくりしてね」

「ん」

黎は短く返してふっと笑った。

「菫が〝家に帰る〟って口にするの、思っていた以上にくるな」

「え? 家に帰る? それが、なに?」

「これからは菫が帰る家は俺も帰る家なんだと思うと、妙にワクワクする。今も菫が家に帰たらって口にするたび顔の筋肉が緩んで仕方がない」

まだお茶しか飲んでいないはずなのに、黎は酔っているみたいに甘い言葉をすらすら口にしている。

菫は頬を赤くし、そっとうつむいた。

「菫の荷物が部屋に運びこまれるのがうれしくて、おまかせパックなのに気付いたら俺がリーダーみたいに動いてたよな」

「うん。業者さんたち黎君の指示で作業してたよね。おかげで予定より早く終わってよかった」

タオルを肩にかけ荷物を抱える黎の頼りがいのある姿を思い出す。

「私も黎君と同じ家に帰れると思うとすごくうれしい。私が住むには素敵すぎる部屋で気後れしちゃうけど、黎君に迷惑をかけないように気をつけるね」

黎からは家賃も光熱費もすべて受け取るつもりがないときつく言われている。

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