御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
菫はさして驚くでもなく起き上がり、ベッド横の椅子にかけていたカーディガンに袖を通した。

時計を見ると午前三時。

眠い目をこすりながらベッドから降りる。

寝室を出て菫が向かったのは、黎の仕事部屋だ。

十畳ほどある室内には壁に沿って長机が置かれ、その上には大きなパソコンが二台並んでいる。

他にもノートパソコンが何台かあり、さすがシステム開発者だなと感心する。

「またトラブルでもあった?」

「悪い。電話の声がうるさかったか?」

ソファに腰かけ膝に置いたパソコンを操作しながら、黎が申し訳なさそうに菫に声をかける。

チラリとも菫を見ようとせず、一心にキーボードを叩いている。

「ううん。それは大丈夫。目が覚めたらいなかったから、ここかなと思って」

「時差を無視するイギリス支社の同期からの電話に起こされたんだ」

あきらめ混じりの声で話す黎に、菫は小さく笑う。

システム開発という職業柄、黎の仕事はかなりハードだ。

二十四時間関係なく会社から電話が入り、トラブル対応で夜中に駆り出されることも多い。

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