御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
仕事が忙しいうえに見合いの話があったりと悩みも多かった。

なにより黎と一緒に暮らし始めて大きく生活が変化したせいでリズムが狂っているだけかもしれない。

自分にそう言い聞かせ、心臓がばくばく音をたてるほどの不安をやりすごした。

けれどその不安は的中し、その日会社を休んでクリニックを受診した菫は妊娠を告げられた。

エコーで赤ちゃんの姿らしきものや心拍が確認され、今のところ問題はないらしい。

最終生理日から計算して予定日は十月初旬。

菫は手渡されたエコー写真を手に、涙をぽろぽろ流した。

「かわいい」

まだ赤ちゃんの形は成していないのに、すでにかわいくて愛しい。

これが黎の赤ちゃんなのだ。

そう思うだけで胸がいっぱいになり、さらに涙があふれてくる。

朝から抱えていた不安はあっという間に消え去り、ただただ幸せをかみしめた。




とはいえ夢見心地で帰宅した途端、現実が押し寄せてくる。

帰宅直後スマホに届いた笹原からのメールを開くと、発売を控えた折り紙の作品集の予約が好調で、早々に重版が決まったとある。

菫はその連絡に飛び上がって喜び、小さくガッツポーズを作った。

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