御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
束の間の黎とのやりとりに気持ちが一気に盛り上がったが、終わってみればなんだかさびしい。
同じ雑誌に掲載されても、黎は単独で取り上げられている。
やはり自分と黎との間には追いつけないほどの距離がある。
黎との暮らしがあまりにも幸せで調子にのってしまい、その現実が頭から抜けていた。
「どうすればいいんだろう」
菫はお腹を両手で優しく撫でる。
妊娠が確定した今、父親である黎に伝えるべきだとわかっていても、気が進まない。
菫を傷つけるようなことはしないとわかっているが、だからこそ伝えるのが怖いのだ。
黎の立場を考えると単純に喜ぶだけでは済まされない。
一緒に暮らし始めた時点で将来を考えなかったわけではないが、やはり黎が背負うべき責任と立場を思うと菫との結婚は現実的ではない。
改めて黎と自分の立場の違いを思い出し、菫は肩を落とした。
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