御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「突然でびっくりしたよな」

「うん」

「想定内といえばそうだけど、聞いていた以上に強敵だな。だけどまあ、大丈夫だ」

「強敵……まさにそうだね」
 
決して悲観的な言葉を口にしない黎の優しさに触れ、わずかに残っていた張りつめていた気持ちがようやくやわらいだ。

「黎君、あのね」

「ん?」

菫は身体を起こし立ち上がると、慣れた動きで黎の膝に腰を下ろした。

ちょこんと横向きに座り、姿勢を正す。

表情が硬い菫を不思議に思い、黎は目を細める。

そして人差し指で菫の眉間を軽く突いた。

「しわになってるぞ。まだ気になることがあるのか?」

「あ、ばれちゃった?」

普段から菫の感情の機微に敏感な黎にはお見通しのようだ。

だとすれば、この先赤ちゃんのことがばれるのも時間の問題だったはずで、結局たった一日しか隠しておけなかった。

菫は黎の手を掴み、自分のお腹の上に導いた。

男性にしては指が綺麗で大きな手が、ゆっくりと着地する。

「菫?」

菫を膝の上で横抱きにしている黎が、きょとんとした顔で菫をまじまじと見つめる。

「黎君の手、改めて見るとやっぱり大きいね」

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