御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「御園さんの母親だという女性が受付で人事部に案内してほしいって軽く騒いでいてね。娘を今すぐ退職させるから手続きを済ませたいって言っていたから別室に通して話をさせてもらったんだ。御園さん、退職を考えてるの?」 

人事部長は朗らかな口調で菫に問いかける。

「まさか、そんなことありえません。まだまだ仕事を続けたいと思ってます」

部長の問いかけに、菫は何度も首を横に振る。

予想通りの母の行動に頭が痛い。

「母は私を実家に連れ戻したくて、そんな無茶を言っているんです。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

母が無謀な行動に出たのは自分の責任だ。

会社に迷惑をかける前に、自分で話をつけておくべきだったのだ。

「お母さんの話ではお見合いの予定があるそうだね。このまま結婚して実家を手伝うのが御園さんの幸せだとおっしゃっていたよ」

「そ、それは違います。お見合いの話は断りましたし、実家には戻りません。私はまだまだこちらで働きたいんです」

菫は胸の前で手を合わせ、前のめりに訴える。

部長に誤解されて会社を辞めるわけにはいかないのだ。

「御園さん、ひとまず座って落ち着きましょうか」

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