御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
切迫した様子の菫に、部長の前に座っている男性が優しく声をかける。

「安心してください。御園さんが会社を辞める必要はありませんから。ですよね、部長」

男性の言葉に部長もうなずき、菫に男性の隣に座るよう手で促した。

「あ……はい。すみません」

菫は小さく頭を下げ、おずおずとソファに腰かける。

その途端どっと疲れを感じ微かな目眩を覚えた。

菫は反射的にお腹に手を当て、目眩をやりすごした。

「あ、もうこんな時間か」

菫が腰をおろしたと同時に、部長は腕時計を見ながら立ち上がる。

「悪いけど来客の予定があるから、僕は失礼するね。事の詳細は弁護士さんから聞いておいて」

「は、はい。お忙しいのに時間をとっていただきありがとうございました。母には二度とこんなことがないように言っておきます」

「いや、これも私の仕事だからいいんだよ。それとね、お母さんがどう出てこようとも、御園さんが退職を臨まない限りそれは受け付けないから。心配せずに仕事に励んでください」

「あ、ありがとうございます」

菫は立ち上がり部屋を出て行く部長に深く頭を下げた。

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