御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「しかし部長の配慮で話し合いに同席させてもらいました。そこでは本人も会社も望んでいない中、お母さんが御園さんの退職を求めてもそれは受け入れられない。人事部長はお母さんにそうはっきりと伝えておられました」

「あ、あの、それで、母はなんと」

経緯をかいつまんで話す極に、菫は遠慮がちに尋ねる。

いつも強気な母のことだ、失礼なことを言っていないだろうかと気がかりだ。

「お母さんには言いたいことが多くあったようですが、取締役でもある人事部長と弁護士である私の名刺が目の前に並んだ途端、黙りこんでしまわれました。御園さんを簡単に連れ戻せると考えていたようですが、それは難しいと察したようです」

極の言葉に菫は納得しうなずいた。

生まれてこの方地元を離れた経験がない母にとって、会社組織は未知の世界。

おまけに普段の生活の中で関わる機会など滅多にない弁護士が登場したのだ、世間知らずに近い母にはかなりの衝撃だったに違いない。

「だったら母は今、どうしているんでしょうか」

すでに話し合いが終わっているのなら、これ以上母がここにいる必要はない。

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