御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「黎に依頼された仕事ですから気を使わないでください。あ、私の意見ですが、お母さんは完全に納得して地元に帰ったようには見えませんでした。今後法律のサポートが必要になったときには、いつでも連絡してください」

極はなおも丁寧な物腰を崩さずそう言って、笑みを浮かべた。

菫を見る目は相変わらず冷たい。

菫は落ちこむ気持ちをやり過ごし、表情を整えた。

「わかりました。母の件でなにか相談させてもらうかもしれません。そのときはよろしくお願いします。あと、今日来ていただいた費用ですが、私宛で請求していただけますか?」

菫は手帳に挟んで常備している名刺を取り出し極に差し出した。

「ご存じかも知れませんが、今回の母の件がきっかけで週末に黎君の家に引っ越す予定です。彼に気を使わせたくないので会社宛に送っていただけるとありがたいです」

「それは、黎から聞いてないな……」

極を真っすぐ見つめよどみなく話す菫に、極はそれまで見せていた笑顔を消した。

「費用に関しては今後もすべて黎に回すよう言われているから、御園さんは気にしなくていい」

菫から押しつけられた名刺を手に、極は眉を寄せる。

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