御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
心なしか口調も砕け、明らかに戸惑っている。

「気にするに決まっています。今日は私のために来ていただいたんですから、報酬は私がお支払いします。それが当然です」

菫はさらに語気を強めた。

「あ、ああ。わかった。……わかったよ」

断固たる口ぶりで話す菫の言葉に気圧され、極は口ごもる。

すっかり笑顔も消え、不思議なものでも見るような目で菫を見ている。
 
少し切れ長で大きな目。

それはやはり黎の目とよく似ていて、菫は今すぐにでも黎に会いたくなった。

「じゃあ、御園さんに請求書を送ることにするよ」

極のどこか力が抜けた表情に、菫も笑顔でうなずいた。

そしてハッと目を開く。

「あ、あの。自分でお支払いすると偉そうに言っておきながら情けないのですが、費用はいくらくらいになるんでしょうか? あまりにも高額の場合、分割というのはありでしょうか?」
 
ふと現実にかえり、菫は慌てて尋ねた。

弁護士費用がどれほどのものか見当がつかず、自分に払えるのだろうかと今さら不安になる。

「まあ、分割もあり、だけど」

恥ずかしそうに極の返事を待つ菫に、極は間の抜けた声で答える。
 
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