御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
自分で支払うときっぱり言った直後にまさか分割の話を続けるとは思わなかったのだろう。
肩を震わせくすくす笑い始めた。
「分割でも大丈夫。だけどそうだな。今回は初回相談料無料ってことで処理するよう事務所に報告しておくよ」
「で、でも、それでは――」
「いいんだよ。どうせ黎に知られたら勝手に俺の口座に倍にして振りこんでくるはずだし。それは面倒だから遠慮しておく。代わりに〝すみれ〟をケースで送れって言っておいて」
極はわけ知り顔でそう言うと、手にしていた菫の名刺を見つめる。
「御園菫。すみれさんっていうんだね。いくら思い出深い葡萄畑だとしても、素人が買い取ってワイン生産の後押しをするなんて無茶だって言ったんだけどな。なんだ、御園さんを想ってワインを生産してるってことか」
「いえ、それだけの理由ではないと思うんですけど」
菫の名前を冠したワインを思い出し、菫はそわそわ視線をさまよわせる。
「あのワイン、かなり売れてるらしいね。それも納得のおいしさだけど」
照れて落ち着きのない菫に苦笑しながら、極は手にしていた名刺をジャケットの内ポケットにしまう。
肩を震わせくすくす笑い始めた。
「分割でも大丈夫。だけどそうだな。今回は初回相談料無料ってことで処理するよう事務所に報告しておくよ」
「で、でも、それでは――」
「いいんだよ。どうせ黎に知られたら勝手に俺の口座に倍にして振りこんでくるはずだし。それは面倒だから遠慮しておく。代わりに〝すみれ〟をケースで送れって言っておいて」
極はわけ知り顔でそう言うと、手にしていた菫の名刺を見つめる。
「御園菫。すみれさんっていうんだね。いくら思い出深い葡萄畑だとしても、素人が買い取ってワイン生産の後押しをするなんて無茶だって言ったんだけどな。なんだ、御園さんを想ってワインを生産してるってことか」
「いえ、それだけの理由ではないと思うんですけど」
菫の名前を冠したワインを思い出し、菫はそわそわ視線をさまよわせる。
「あのワイン、かなり売れてるらしいね。それも納得のおいしさだけど」
照れて落ち着きのない菫に苦笑しながら、極は手にしていた名刺をジャケットの内ポケットにしまう。