御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「そうなの。うちのホームページの御園さんの作品のファンの方でね、時間を取っていただけるなら一度お会いしたいって熱心におっしゃって。一階の面談室にお通ししてるから、少しの時間でいいから会ってもらっていいかしら」

「は、はい……それはかまいませんが。会ってなにをお話すれば――」

「御園さん、ファンなんてすごいですよ。是非とも会って本を売りこんできてください」

話を聞いていた笹原は、まごついている菫に今まで眺めていた作品集数冊を手に取り菫に押しつけた。

「なんなら御園さんのサイン入りでプレゼントしてきたらどうですか? 絶対に喜ばれますよ」

「で、でも……」

「こっちの仕事は私がやっておきますから。行ってきてください」

「ちょ、ちょっと笹原さん」

はしゃぐ笹原に背中を押され、菫はわけがわからないまま一階に向かった。






「本当にいただいていいんですか? おまけにサインまで書いていただいて。感激です。妻も娘も大騒ぎすると思います」

「いえ、そんな大げさな」

面談室に顔を出してからというもの、菫は椅子に座ってうつむいてばかりいる。

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