御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
内容はいつも同じで実家に戻って見合いをするようにと、そればかりだ。

菫が無視しているので日程が組めないのか具体的な情報はなく、見合いを強要する言葉ばかりがずらりと並んでいる。
 
そのメッセージが届くたび、菫は妊娠しているから見合いは無理だと伝えようかと悩むが、菖蒲はともかく母がなにを言い出すのかがわからず伝えられないままだ。

世間体を気にする両親のことだ、結婚をしていない菫が妊娠したと知れば激怒するに違いなく、考えたくはないが子どもはあきらめろと言い出す可能性もある。

「え、まさか、母さんが悟君をここに?」

無視を続ける菫に業を煮やした母が、強硬手段とばかりに見合い相手の悟をここに送りこんできたのかも知れない。

母ならやりかねないと、菫は頭を抱えた。

母が用意した見合いの相手というのが悟なのだ。

中学時代はともに吹奏楽部に所属し仲がよく、勉強を教えてもらうこともあった。

繊細で綺麗な見た目と地元の有名企業の後継者ということで女子からの人気はすさまじく、彼目当てで吹奏楽部に入部する女子生徒はかなりいた。

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